7月は、日本私立幼稚園連合会発行の機関誌2025年3月号に掲載の東北大学加齢医学研究所(脳科学専攻)教授の川島隆太先生の「親子の愛着関係が希薄化し、子ども達のこころが、不安定になってきていることを、ひしひしと感じている。特にITCの発達によって、スマホやタブレッ卜といった機器が家庭に、それも個々人に深く入り込んでしまったことが、深刻な悪影響を与えていると考えている。」との警鐘をならしていることを紹介しました。その続きは次号ということでした。 

しかし、8月は、3歳児以上児さんは夏休みということで、3歳未満児さんと、あそびの森きんし保育園児さんに、同じ機関誌2025年2月号に川島隆太先生がお書きになっている「親子の愛着について」についてお話しをしました。 

そこで、9月は7月に続いて、3月号の続きのお話しを致します。 川島先生のチームの仙台市の公立小中学校に通っている全児童・生徒の学力と生活習慣の調査研究の結果によれば、「家庭でのスマホやタブレットを使ったインターネット利用時間が1時間を超える子ども達の学力が、全ての教科において、利用時間が長いほど低下していた。この学力の低下は、睡眠時間の短縮や家庭学習時間の短縮による影響よりも、インターネッ卜接続時間の長さの影響が強いこともわかった。衝撃的だったのは、インターネットを学習目的で利用して、利用時間が1時間を超えると、成績が低下することであった。インターネットを使って每日家庭で2時間以上学習をしている子ども達の学力は、平均以下、まったく勉強をしない子ども達と大差ないことは驚きであった。」というのです。 

さらに「より深刻なのは、幼児から高校生までの子ども達の、3年間の脳発達を、MRI装置を使って計測した研究で、每日インターネットを常用する子ども達の大脳の多くの領域で脳発達が止まってしまっていたことである。」と警鐘を鳴らしておられます。そして最後に川島先生は「インターネットは、大いなる利便性の裏側に、強い毒性を秘めていることを知らずに、漫然と使い続けることは悲劇だと思う。インターネットは子育てにはいらないと固く信じている。」と結んでおられました。 

思うに、近年、小学校はじめ学校教育にもタブレットが導入され、その活用が進んでいます。それを全面的に否定するものではないですが、タブレット上での映像は、その場ではわかっていても、それを深く理解し考え記憶に止めるまでに至るのか疑問なしとは言えない気がします。口で読んで、手で書いて理解し記憶する昔からの「読み書き」をしながら覚えることが薄くなっていないでしょうか。タブレットを使用しても、その情報をせめて口で読んで手で書く作業を惜しまないで欲しいと思うのです。 

最近、タブレット教育の効果に疑問視する新たな考えも出ています。また教室で先生は生徒がタブレットで真剣に学んでいると思っているにかかわらず、実はゲームやネットを開いている生徒も少なからずいるという指摘もあります。 

タブレットの有用さを認めつつ、その正しい利用の仕方を心しておく必要がありそうです。