この欄は、3歳児から5歳児についてのお話が多いのですが、今回は、0歳から2歳まで(3歳児未満)のお子さんの、特に心の発達について、お話ししてみたいと思います。
新生児の体重は、1日であくまでも平均ですが、30~35gも増えていき、身長も生後3ヶ月で10㎝位も伸びます。
それだけに、心の成長もめざましいものがあり、0歳から3ヶ月では、はじめは反射的に反応しますが、やがてその動きは消滅し、話しかけることによって、安心感を持つようになります。ですから、どの年齢でもそうですが、とりわけ0歳児から2歳の3歳未満児では、触れ合い話しかけることによって、安心感が愛着(アタッチメント)を育て、安定した感情の発達にも繋がります。
3ヶ月をすぎると喜怒哀楽が芽生え、自己主張をするようにもなります、物や人に対する好奇心が旺盛になります。9ヶ月から1歳児までには、何かに触って見たいなどの探索行動が見られ、全身を動かし、身近に触れることによって、好奇心などの意欲が引き出されます。
1歳を過ぎる頃には、探索行動も激しくなり、自己主張もさらに増します。この時期には、言葉が分かることも多くなりますが、まだ自分の意志を思うように言葉に出すまでには至っていません。所有欲も芽生えます。泣き声や行動に意味があり、それを読み取ることは難しいのですが、その真意を読み取ることも重要です。
さらに1歳6ヶ月を過ぎる頃には、自我が育ちはじめ、「我がまま」や「だだをこねる」場面も多くなります。また自分からコミュニケーションを取ろうとしてきます。
2歳に入る頃には、一般的に言われる「いやいや時期」に入ります。自我の著しい発達です。何に対しても「いや」と言ったり、自分でやりたがったりする気持ちが強くなります。この時期に大切なことは、子どもの気持ちを受け止めて、その気持ちを認めてあげることが大切です。「これ何?」「どうして?」などを尋ねることも多く、面倒くさがらないで丁寧に答えてあげるようにして、知る意欲を高めることが好ましいです。
このように、0歳~2歳は変化が激しく、親もその年齢の頃の自分に記憶のない時代でありますから、戸惑うことも多いものです。しかし、また振り返ってみれば、子育て時代のなかで、最も楽しい時期でもあります。
私は、この時期での大切なことは、一口に言えば、「居心地の良い安心感を与えること」だと思います。その安心感が情緒の安定を与え、3歳児以降の自己肯定感を育てていくに重要であると思うのです。育児で悩むこともありますが、自分自身も楽しみながらの心の余裕が、大切なことだと思います。