暑い夏がやってまいりました。年々、気温が高くなっているような傾向ですが、熱中症にも気をつけて健康に過ごしましょう。
近年、幼稚園・保育園では、子どもの自主性を尊重する保育の重要性がうたわれています。そして遊びを通し、その自主性を育むことが重要であるとも言われています。
そのとおりで、私達の園でも、研修などで学びながら保育をしております。
ただ、実際の日常の保育のなかで、具体的にどのように子どもの自主性を引きだし、伸ばしていくかということになると、保育の先生も日々悩みながら試行錯誤を続けているところです。
先日、保育雑誌を見ていて、岐阜聖徳学園大学教育部教授:西川正晃先生の書かれた文章が目にとまりました。
そのなかで、「最近の保育の現場においては、子どもの主体性を尊重することが重要であるという考え方が強調され、その考え方に縛られて、先生方を抑圧してしまうことがあるようです。『こういうことを言ってはいけない』『見守るだけでいい』と考えてしまい、先生方自身の主体性が発揮されることを妨げることにつながってはいないでしょうか。」との問題提起がなされていました。
確かに、子ども達の自主性を考える場合に、現場の先生達は、西川先生のご指摘のような葛藤にまず直面することが多いと思います。
この課題について、西川先生は「自主性を考える場合に、子どもの自主性の側面のみ考えることではなく、保育の先生も自主性をもって保育する必要がある」と言われています。
それには、「最近の保育現場において、共主体”という言葉が、広く用いられるようになってきているが、子どもの主体性を育むために、先生自身も自らの考え方や持ち味を生かし、自己の主体性を発揮する必要がある」というのです。
保育は、「先生と子どもとの相互的なかかわりによって展開されるもの」であり、「子どもと先生がお互いの主体性を発揮し、対話的な関係を築くことが、 保育の本質であると言えます。このように、二重の主体性があることが、子どもたちの主体性を育むことにつながっていきます。」とされています。
子どもの主体性を育むに、西川先生は、「先生は何も言ってはいけないとか、見守るだけでよいとか、これは言ってはいけないという抑制的な保育ではなく、互いの主体性を尊重していくことが必要である」と言われており、納得できるものがあります。
西川先生は、それには、「先生と子どもが一緒に向き合いながら解決していくことが大切です。子どもがもつ、既存の概念にとらわれない柔軟な発想力と、先生がもつ、経験豊富で 確かな知識や技術とが紡(つむ)がれる生活が、保育そのものです。その生活の中で、子どもたちが素直に感動したことをお互いにたたえ合い、尊敬し合えるような“ほめる”(感動を共感できる)ことが、保育の営みで実現できればどれだけ素晴らしいことでしょうか。子どもたちから、『せんせい、すごいじゃん!さすがだね』と ほめてもらえる存在でありたいと願っています。]と結んでいます。
保育の現場にいる者として、とても考えさせられる内容です。