4月は、元気な泣き声も園内にひびき、この元気な泣き声は、保育に携わる者にとって嬉しいひびきです。お母さん大好きの健やかな成長のメッセージでもあり、次第に先生大好きのメッセージも加わっていくからです。

さて今年度、幼稚園では、保育とこれに伴う幾つかの行事についての見直しを行い、年間日程のご連絡でもお知らせしました。この見直しは昨年度の春、夏、冬の学園内研修で十分検討し、全体像の取り纏めが年度末迄かかったため、ご連絡がぎりぎりになりましたことをお詫び申し上げます。

幼稚園のほか、保育園も含め、園が保育の見直しをする場合には、どのような考えに基づくものかを知って頂く良い機会であり、この欄をお借りして、特にお泊まり保育の「泊まり」を無くし、アドベンチャースクールとして新たに出発することを例に、少し具体的に申し上げたいと思います。

従来のお泊まり保育の子ども達の姿は、「泊まり」を期待している子ども達もいれば、「泊まり」に不安を抱えて過ごす子ども達も多くおりました。このような姿のなかで、子ども達が「泊まり」の経験を通じて、大きく成長して欲しいと、先生達は献身的な努力をしてこれまでやってきました。従来どおりやって欲しいと言えば、先生達は嫌がる顔は決してしないと思います。

しかし、子ども達、先生達の状況を冷静に考え、今どうするべきかを決めるのは、園の責任者の役割でもあります。また災害の多い今の時代、万が一の事故をも想定しなければなりません。

さらに「泊まり」の子ども達の見守りは時間当番を決めますが、当番以外のほぼ全員の先生が一晩中子ども達を見守っているのが実状です。その負担は想像以上です。お母さん先生も多くなってきている現状で、深夜の当番は外しているのですが、それでも夜遅く迄子どもを家に残して勤務しており、これらのお母さん先生やその子の気持ちも考えてあげたいと思います。

先生達は日常保育・行事の他に、働くお母さんが増え延長預かり保育参加者が増加し、さらに新制度の認定事務等の忙しさが加わっています。そのなかで毎日献身的に時間を厭わない働きをしており、特に近年は、働き方や長時間労働のあり方には社会が厳しくなっているところ、これ以上に深夜の労働を強いることは最早時代が許さないのではないでしょうか。躊躇をしている時期でないと考えました。
もちろん子ども達のことも考え、先生達は「泊まり」が無くなっても、その良かった面を残すため内容も大きくは変えず従来どおり楽しく、また夜の幼稚園も経験させてあげようとしています。

これらの事情を総合的に十分検討・熟慮したうえ、最終的に園の責任において決断しました。今迄やってきたのではとか、或いは他にやっている園もあるのでないかとの意見もあるかも知れませんが、それは何時、どの時点で時代を読まなければならないか、また子ども達のためとその他の事情をどこで調和を図るかは、責任者の判断と見識の問題かと思います。先生達が負担軽減のみ考えていると受け止められたら、それは余りにも先生達が気の毒だと思います。

先日あるクラスでは、先生が子ども達に「泊まり」はないけれど楽しいことが一杯あるんだよと説明をしたところ、「泊まり」が無くなると聞いていた子も違う楽しさがあるんだねと喜び、「泊まり」を不安に思っていた子も安心し、クラスでアドベンチャースクールの話で盛り上がったとのことです。子ども達の発想は柔軟であり、子ども達を信頼していきませんか。

最後に、「泊まり」が無くなって残念とのご意見や、子どもの不安が無くなったとか、さらにこれまでお誕生会も含めて先生達の負担を心配していたので安心したとの温かいご意見も頂き、これら全ての貴重なご意見を今後の保育の参考にさせて頂きたいと存じます。