昔は、夏休みの8月の幼稚園はひっそりしていたものですが、働くお母さんも多くなり、私ども保育園はもちろん、こども園の今の8月は、普段の月と余り変わらない賑やかな声であふれています。お父さん、お母さんも職場で頑張っているのですから、暑いなか汗をかきながらも、子ども達、先生達も、園で夏を楽しみながら頑張りたいと思います。

乳幼児期の保育、特に身体と心が一体となって著しく変化しながら発達する乳児期は、その発達の過程の知識を知ることが不可欠とも言えます。

1歳を過ぎたころから、離乳食から幼児食へ、また上手に歩行できるようになると、人として自立していける言葉の習得や探索活動などが見られます。今までハイハイをしていたと思っていたら、ある日突然つかまり立ちをする、さらに一人歩き、そのうち走る、ぴよんぴよんはねる、階段をよじ登るなど身体の発達がめまぐるしく変化します。1歳半頃から一語音から二語文へと発達してきます。そういった身体の発達に伴って、依存心と独占欲も芽生えてきます。この時期の保育は、甘えたい子どもの気持ちを受け止めて、満足するまで相手をすることが、子どもの情緒の安定に必要です。探索活動が増えてきますが、安全に配慮しながらも、子どもの満足させる環境や自主的な行動を見まもることも大切です。手当たり次第に物をいじるのは、堅い、柔らかい、音、味など、好奇心から、体験的に学んでいきます。汚いとか、危ないとその行動を過度に制限してしまうのは、子どもの知的・情緒的発達に悪影響を与えると言われています。

2歳になる頃には、さらに自己主張が強くなってきます。言葉も三語文が話せるようになり、言葉で自分の意思を伝えようとしますが、未だ十分ではなく、それにいらだちを示すなど行動は多様化し、自我の芽生えも著しくなります。イヤイヤ時期と言われるものです。この時期、大人にとって、扱いにくい時期だと考えられがちですが、これは子どもにとって大きな成長であり、自己主張ができるようになったと評価し、受け止めていきたいものです。

イヤイヤが始まったら、それを禁止的・否定的に怒ったり、制止するのではなく、例えば「じゃおかあさんは知らないからね。」とか「もう食べなくても良い。」などではなく、「楽しいことが待っているよ。」とか、「美味しいから一緒に食べてみようか。」など、観点を変えて肯定的な言葉をかけてあげたり、待ってあげるのも重要です。忙しい毎日、大変かも知れませんが、日常のちょっとした言葉かけを心がけたいものです。

しかし、子ども発達過程は、その成長が著しいだけに、個人差も多くあります。平均的な年齢と発達の過程の知識が先行し、それが違っているのでないかと心配するのもこの時期です。マイペースでゆっくりの子も、大きな時間軸のなかでは、同じように成長していきます。心配なことがあれば、園の先生や保健師さんに聞かれるのも良いかもしれません。

この時期、愛情を一杯そそいで下さい。子育ての楽しい時期でもあります。